ヤマトタケルは東国征伐を終えて尾張に戻っていました。結婚の約束をしていたミヤズヒメと結婚をします。喜びも束の間、伊吹(いぶき)の山に悪い神がいると聞き、今までの勝利の連続からおごりの心があったのでしょうか「素手でやっつけてやる」といい、神剣・草薙の剣をミヤズヒメに預け伊吹の山に征伐に向かいました。 伊吹の山にやってくると、途中、牛ほどの大きな白い猪に出会いました。「これは山の神の家来だな。帰り道で相手になってやろう」と大きな声で威嚇してやり過ごしました。 すると突然、激しく雹(ひょう)が降り出し行く手をはばまれます。実は白い猪は山の神の家来ではなく山の神そのものであり、ヤマトタケルが威嚇したため怒りを買ったのです。 雹(ひょう)に打たれて体力を激しく消耗したヤマトタケルは、養老の地の野原を通るときには「今は歩くこともままならなず、足がたぎたぎと軋(きし)む」と嘆きます。後にこの野原は多芸野(たぎの)と言われるようになりました。

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